Archipelago Magazine

Archipelago Magazineは、動く建築であるアーキペラゴを、
建築雑誌『山をおりる』の編集部が関係者へのインタビューを通してご紹介する
ウェブマガジンです。
Production by 山をおりる

2020.6.9

金額がわかりやすい、開発され続けるプロダクト住宅「Archipelago」

建築家・寺田雅史(屋根裏株式会社、Archipelago)

Archipelagoは、海上コンテナのモジュールに合わせてプロダクト化=量産することで、移動・品質の安定・工期短縮を可能にした、あたらしい建築の選択肢です。

車のような » 動いて変形する建築「Archipelago」は、組み合わせ次第でさまざまな用途になります。住宅を一品生産で建設するのではなく、工場で大量生産する「プロダクト」としてつくることで、安心で、費用が明快で、研究開発が続けられるなど、さまざまなメリットがあるそうです。「Archipelago」がプロダクトであることのメリットについて、デザインした建築家・寺田雅史に話を聞きました。
 

目次

  • 「Archipelago」がプロダクトであることのメリット
  • プロダクト住宅Archipelagoは工場生産だから安心
  • Archipelagoはプロダクトだから金額が決まっている
  • Archipelagoは複雑な形でも価格が変わらない
  • Archipelagoは研究開発が続けられているからつねに最新
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    「Archipelago」がプロダクトであることのメリット

     

    ──前回のお話で、Archipelagoの特徴は大きく分けて「ローコスト」であること、「動く」こと、そして「プロダクト化している」ことだとうかがいました。今回は「プロダクト化」についてお話いただこうと思います。そもそもここでいう「プロダクト」とはどういう意味ですか?

     
    寺田|プロダクトは、直訳すれば「製品」です。一般的に住宅は一品生産。注文住宅の場合、建築家がお客さまの暮らしの要望を聞き、設計して、世界にひとつだけの住宅ができます。一方で、プロダクト住宅である「Archipelago」は、構造や寸法、内装、設備などがすでに計画されていて、工場で大量生産されます。自動車のつくられ方を想像してみてください。その住宅版です。
     

    ──住宅が工場で大量生産されている、、、あまり想像できないですね……。ハウスメーカーのようなつくられ方とは異なるのでしょうか?

     
    寺田|ハウスメーカーでは、建材を工場で生産し、それを現場で組み立てて住宅になりますが、Archipelagoはひとつの部屋のユニットをすべて工場で生産しています。工場から出荷される段階で、すでに住宅なんですね。
     

    ──なるほど。住宅がプロダクトであることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

     
    寺田|大きく分けて、つぎの4つがあげられます。

    ・ メリット1|簡単・安心
    ・ メリット2|金額設定が明瞭
    ・ メリット3|複雑な造形にしても価格が変わらない
    ・ メリット4|研究開発が続くからつねに最新

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

     

    プロダクト住宅Archipelagoは工場生産だから安心

     

    ──前回の記事 » ローコストであたらしいライフスタイルを生み出す、動く住宅「Archipelago」でも、徹底して管理された工場で製造しているため、安全性が高いというお話をされていました。

     
    寺田|そのとおりです。そのうえ、製造されたArchipelagoは現場でジョイントするだけです。一般的な木造の住宅の安全性は、建設する職人さんの技術によって左右されてしまうのですが、昨今では優秀な職人さんも減っていて、技術力も低下していると言われています。Archipelagoなら、かんたんに取り付けるだけなので、高い施工精度で建設することができるんです。もちろん、構造の専門家とコラボレーションしていますので、建物の耐震性能も安心です。
     

    ──同じ安全性能を持った住宅が工場で製造されているわけですね。住宅を買うことに不安を感じている人はたくさんいますものね。

     
    寺田|自動車を買うときは、まず試乗してみますよね。なぜかというと、試乗した自動車とまったく同じ性能の自動車を買うことができるからです。Archipelagoも同じように工場で製造されているので、試乗ならぬ、試住ができます。
     

    ──実際に住宅での暮らしを体験してから購入することができるのですね! それは住宅展示場のようなものともまったく異なりますね。

     
    寺田|住宅は3回建てないと納得しないとよく言われます。Archipelagoなら1度建てたあと気に入らなければ動かせばいいだけですし、建物の性能にしても、すでに工場で何百回とつくられたものなので、建ててみたら設計ミスで雨漏りが…なんてことはありません。実物を見てから、実物に住んでみてから購入できるので、安心なんです。

     

    Archipelagoはプロダクトだから金額が決まっている

     

    ──住宅がプロダクトであることのメリット、2つ目の金額設定が明瞭とは、どういうことでしょう?

     
    寺田|一般的な住宅のつくられ方を大まかに言えば、まず敷地に合わせて建築家が設計し、その図面をもとにいくつもの部材を組み合わせ、職人さんが施工して完成します。ここでそれぞれ、設計料、材料費、施工費が発生します。
     

    住宅の建設費用 = 設計料 + 材料費 + 施工費

     
    寺田|敷地や建物の形が複雑だったりすれば建てるのがむずかしいので、設計料や施工費が高くなる傾向がありますし、建材や設備のグレード、構造の種類が変われば費用も変わります。
     

    ──思った以上に複雑ですね……

     
    寺田|Archipelagoは、居室スペース「ico」のひとつのユニット(約14.4㎡)は298万円です。この金額は、どのような場所に建てても、変わりません。
     

    ico 居室スペース 298万円
    sanita 水回りスペース 468万円

     

    ──なるほど! とてもわかりやすいですね!

     
    寺田|Archipelagoをいくつ組み合わせるか、その数だけで価格が決まります。しかも、すでに設計されたユニットを組み合わせるだけなので、設計や施工に時間がかかりませんし、設計料もかかりません(既存プランから選んだ場合)。
     

    Archipelagoは複雑な形でも価格が変わらない

     
    寺田|さきほど、Archipelagoは組み合わせるユニットの数だけで価格が決まると言いました。このことが、3つ目のメリット「複雑な造形にしても価格が変わらない」につながります。
     

    ──どういうことでしょうか?

     
    寺田|Archipelagoはユニットの数で価格が決まります。そして、いわゆるコンテナ建築は基本的に同じ方向にしか積み上げることできないのですが、Archipelagoは直交方向に積み上げることができます。Archipelagoはこのことで特許も取得しました。いわゆるコンテナ建築は、基本的に真上に同じ方向に積み上げることしかできないんですね。直交方向に積み上げることができるので、真四角ではない、複雑な形状の住宅にすることができるんです。
     

    通常なら同じ方向に積み上げることしかできず真四角になる(左)が、Archipelagoは直交方向に積み上げることができるので、自由に造形を考えられる(左)。左右で使用したユニット数は同じなので、価格も同額。


     

    ──住宅に限らず、一般的な建物は基本的に四角い形をしていますよね。なぜなのでしょう?

     
    寺田|建物がデコボコしていると、建物の表面積が増えて建材が余分に必要になりますし、設計も施工もむずかしくなります。その分、建設費用が高騰してしまいます。街中のビルなどが真四角なのは、そのためです。

    一方で、繰り返しになりますが、Archipelagoはユニットの数だけで価格が決まります。直交方向に積み上げて、どれだけデコボコした形にしても、価格は変わらないのです。独創的な住宅が、一定の価格で実現できます。
     

    ──住宅を建てる価格が一定でわかりやすいだけでなく、その価格設定が組み合わせた形に左右されないのですね。これは今までなかったことですね。

     
    寺田|理想の暮らしと住宅を実現する、もっとも効率的な方法が、Archipelagoなのです。

     

    Archipelagoは研究開発が続けられているからつねに最新

     

    ──それでは、住宅がプロダクトであることの最後のメリットについてうかがいます。研究開発とはどういうことでしょうか?

     
    寺田|いま、住宅は一生に一度の買い物だと考えられていることが多いので、100年使い続けられる住宅が求められていますが、実際はどうでしょう? 20年後に世界が変わっているかもしれませんし、建ててしまった住宅が足かせになって人生が左右されてしまうこともあるでしょう。

    たとえばスマートフォンは、みなさん数年おきに買い替えますよね? それは新しい技術が生まれて、電話の機能が向上しつづけているからです。
     

    ──住宅はこれまで大きな技術的進化を遂げていない、ということでしょうか。

     
    寺田|長く使い続けられることを想定すれば、技術は進化し続けているので、最新技術を取り入れにくいのです。

    Archipelagoは、プロダクトとして、スマートフォンのように研究開発を続けます。世の中が進化するスピード感で、住宅を改良し続けます。Archipelagoを購入されるときにはその時の最新の技術が取り入れられていて、適切なメンテナンスを受けられます。前回 » ローコストであたらしいライフスタイルを生み出す、動く住宅「Archipelago」で触れたように、Archipelagoはローコストなうえ、必要なときにユニットを買い足すことができます。そのときも最新技術が取り入れられた高性能な住宅として購入してもらうことができるのです。
     

     

    ──ここで言う性能とは、どのようなことを指すのでしょうか?

     
    寺田|たとえば、一般的な住宅性能を考えるときに重要になる性能は断熱性能です。これまではどのような断熱材をどのように施工するかで断熱性能が左右されていましたが、Archipelagoは「真空断熱」の採用を予定しています。これは冷蔵庫に使われるようなもので、これまでの住宅の断熱性能と比べると圧倒的に高性能です。こうした研究開発を続けることで、品質の安定にも繋がります。
     

    ──お話をうかがっていて、Archipelagoがプロダクト化されていることは手段してしかなくて、本来の目的は多様な選択肢を生み出すことにあるのだと思いました。

     
    寺田|さまざまな人が、さまざまな住宅を楽しむことができる。いわゆるコンテナ建築は、基本的に真上に同じ方向に積み上げることしかできないんですね。家を建てる事が人生の目的ではなく、豊かな人生を送る事こそが、人生の目的ですよね。Archipelagoの可能性は、これから広がっていくのだと思います。
     

    » Archipelagoの住宅は、いますぐあなたのもとに届きます。

     
     
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